ノーベル賞が東京大学卒業生や東大医学部に少ない理由

ノーベル化学賞が今日発表され、欧米の3人、Tomas Lindahl, Paul Modrich, Aziz Sancarが受賞しました。受賞理由はDNA修復で、紫外線などでDNAが損傷(チミンダイマー形成)したのをどう修復するか、等が業績として認められています。

ノーベル賞といえば、京大物理が多く、東大は少ないと言われてきました。

その理由は何なのでしょうか?

私が個人的に思うのは、東大に入ってまで勉強したくない、という人がかなり多いことです。

東大に入れば後は楽ができる、と親から言われて、それを信じて、東大に入ってから後は比較的楽にそこそこの成功で満足している人が多いからではないかと思います。

特に医学部に入った人はほとんどが臨床医に行くようで、研究医としてノーベル賞を目指す、という人はあまりいないようです。実際東大医学部からはノーベル賞受賞者はまだいません。

また、今年のノーベル賞は、山梨大学出身の大村智氏と、埼玉大学出身の東大教授、梶田隆章氏に与えられました。

山梨大学、埼玉大学出身のノーベル賞は初めてと思います。

彼らは受験勉強を強いられることもなく、のびのびと自由に勉強していたので、伸びしろが大きかったのだと思います。

チャート式数学、フォーカスゴールド、予備校テキストなど、勉強があまり楽しくなくなるようなことをせず、自分の好きなことを勉強していたのではないでしょうか?

日本の受験秀才は、勉強を楽しむ、という気持ちが少ないように思います。勉強が楽しくてたまらない、という東大生にはあまり会いませんでした。もちろん、理学部に行って天文学をやる、昆虫が趣味、等という変わった人は少しはいて、そういう人は大学教授になっていますが。

東大からノーベル賞があまり出ないのは、もう一つはあまりガツガツしない、という面もあるかも知れません。皆それなりにいい家の出身で、死にもの狂いで何かに打ち込む、というタイプではないように思います。

絶対に世界一になる、というような覇気は少なく、そういうのは東大でもトップの人に任せよう、みたいな遠慮があります。これは自分も優秀だけど、それ以上に化け物みたいに優秀な人がいることも知っているので、自分はまだまだ。ノーベル賞とか、学士院賞とかは、天才みたいな人に任せて、自分は普通の大学教授や企業の部長位でいいや、と達観している人が多いような気がします。

とはいえ、東大生が本気になればすごいことができるのは、小柴昌俊先生のカミオカンデを見ても明らかです。カミオカンデ、スーパーカミオカンデからノーベル賞が続出する、という人もいましたが、実際に戸塚洋二先生の流れをくむ梶田隆章教授がノーベル賞を受賞しました。

他に鈴木厚人教授も有力なノーベル賞候補と言われています。

そういう意味では、今後は東大からもノーベル賞受賞者が増えるとは思いますが、やはり野心のある人が少ないとすれば、東大よりも他大学の方がノーベル賞を受賞する人が多くなるかも知れません。

これは研究の場合は、頭がよいだけではダメで、運が無いとノーベル賞受賞は難しいということもあるのではないでしょうか?

そして、他人のために一生懸命頑張る、という気持ちも東大よりも他大学の方が強いような気もします。東大はこれだけ勉強してきたのだから報われて当たり前、と考えているところがあります。そのあたり少し奢っているかも知れません。

東大生もその持てる頭脳とパワーの全力を解放して、フルパワーで研究すればもっとノーベル賞受賞者が出ると思います。東大卒業生としては、そういう後輩が増えてくれることを期待しています。そして私自身もフルパワーで大きな仕事をしようと考えています。

ノーベル賞受賞者は以下のとおりです。本当に東大卒は少ないですね。

(旧制大学世代)
朝永振一郎 1906年3月生まれ 京都帝国大学理学部
湯川秀樹   1907年1月生まれ 京都帝国大学理学部
福井謙一   1918年10月生まれ 京都帝国大学工学部
南部陽一郎 1921年1月生まれ 東京帝国大学理学部
江崎玲於奈 1925年3月生まれ 東京帝国大学理学部
小柴昌俊   1926年9月生まれ 東京大学理学部
下村脩    1928年8月生まれ 長崎医科大学附属薬学専門部

(新制大学・戦前生まれ世代)
赤崎勇    1929年1月生まれ 京都大学理学部
鈴木章    1930年9月生まれ 北海道大学理学部
根岸英一   1935年7月生まれ 東京大学工学部
大村智    1935年7月生まれ 山梨大学芸学部
白川英樹   1936年8月生まれ 東京工業大学理工学部
野依良治   1938年9月生まれ 京都大学工学部
利根川進   1939年9月生まれ 京都大学理学部
益川敏英   1940年2月生まれ 名古屋大学理学部
小林誠    1944年4月生まれ 名古屋大学理学部

(新制大学・戦後生まれ世代)
中村修二   1954年5月生まれ 徳島大学工学部
梶田隆章   1959年3月生まれ 埼玉大学理学部
田中耕一   1959年8月生まれ 東北大学工学部
天野浩    1960年9月生まれ 名古屋大工学部
山中伸弥   1962年9月生まれ 神戸大医学部

(したらば掲示板より引用)

 

 

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