東大がニューヨークに産学連携拠点 医療・工学が主な対象

大学の産学連携の海外拠点としては、サンフランシスコのJUNBA(サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク(Japanese University Network in the Bay Area: JUNBA))というのが2007年頃に設立されており、私も一度行ったことがあります。大阪大学がメインだった記憶があります。

これは産学連携がメインというよりも海外留学も含めた研究拠点の意味もあり、研究で成果を出され、退官された教授が来られていました。

JUNBAの参加大学は、現在は以下のようです。初期には大阪大学等8校くらいだったと記憶していますがかなり増えています。

桜美林大学
大阪大学
岡山大学
鹿児島大学
九州大学
事業創造大学院大学
芝浦工業大学
千葉大学
筑波大学
東京工業大学
東北大学
名古屋大学
新潟大学
広島大学
福岡工業大学
福岡女子大学
法政大学
山形大学
横浜市立大学
早稲田大学

東京大学はJUNBAには参加していないのですが、海外企業との産学連携を進めるため米国ニューヨークに11月に拠点を作り、1人常駐させるそうです。

この拠点は、東大生産技術研究所と医科学研究所が中心となるそうで、工学と医学の産学連携の拠点とするようです。

JUNBAでは最初は、退官された教授が来られていて、大阪大学の教育の一環としての機能がありました。今回の東大の拠点がどのような目的かはよくわかりませんが、今年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智氏がメルクと共同研究した例のような海外企業との共同研究が1つの目的のようです。

つまり、海外企業との連携をよりやりやすくする、ということでしょう。日本の支社から資料を本社に送る手もありますが、それよりも本社にプレゼンできるのであればその方がよりやりやすいでしょう。

日本の大学や企業は優れた研究成果を出しますが、海外の企業に実用化では先を超されるケースも多いです。

それは海外ではベンチャー企業では、日本企業が研究企画の稟議中に研究開発を終えてしまう、という位スピードを重視した研究開発をしているからでもあります。

主に医療や工学を対象に共同研究の相手となる企業を開拓したり、企業の研究資金を集めたりする。海外企業との連携で研究開発に弾みをつける狙いだ、とのことですから、東大もグローバル化を進め、海外に進出するということでしょう。

実際、中国、韓国、台湾の人達は世界中にビジネスを広げるのがうまいですが、日本人はどうもそれがあまりうまくない気がしています。

それが今回のニューヨーク拠点により世界に発信するのが普通になれば日本経済の復興にも寄与すると思われます。

ニューヨーク拠点には、当面は常駐者を1人置くが、将来は陣容を拡大する計画だそうです。

私もニューヨーク州バッファローのベンチャー企業に売り込みに行きましたが、日本からはやはり1日がかりの旅になります。アメリカに拠点があれば、数時間で移動でき直接あって打ち合わせできるのでとても有利になると思われます。

 東大生産技術研の藤井輝夫所長は「大学の知を社会で積極的に活用するために、民間企業との連携は重要、そのうえでグローバルな存在感が無いと、優れた知見や技術を擁していてもなかなか使ってもらえない。ニューヨーク拠点をグローバル展開の窓口にしたい」と述べたそうです。

これは農学部のオリザニン発見もビタミン発見と同じ意味がありましたが、世界に発信できなかったために、ノーベル賞を逃した、という苦い経験もあるからでしょう。

 今年のノーベル生理学・医学賞の受賞者の北里大学大村智特別栄誉教授は、米製薬大手メルクの資金提供を受けた共同研究が実用化の大きな推進力になった。東大は同様の例を想定している。

もし、大村智さんのような共同研究が盛んになれば、東大からももっとノーベル賞が出やすくなると考えられます。

東大としては、海外拠点の設置によって、バイオ医薬などの医療や工学、資源・エネルギー、デザイン・建築、情報通信技術といった幅広い分野で米企業や研究財団などとの交流を深めるそうだ。

これにより、東大のレベルアップにもつながると考えられる。また人材の交流も活発になり、東大から米国の教授になる人も増えるだろう。

米大学や研究所との情報交換にも取り組むというのはそういう意味と考えられる。

今後の展開がとても楽しみだ。

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